本研究は、大規模地滑り災害に対し安全な住生活を実現するために、取り扱いが簡便で対象箇所を高精度に計測し、広範囲を網羅しながらリアルタイムに状況を把握することが可能なモニタリング技術を開発することを目的とする。計測技術の具体的手段としては、特定領域を高精度に計測可能な精密デジタル写真測量技術、及び広範囲をリアルタイムに観測可能な電波位相差式測距計測技術の組合せである。平成20年度はそれぞれ以下の検討を行った。 ■精密デジタル写真測量技術 ・遠距離撮影時の写真歪み補正手法の検討 従来の中心投影に代わる投影幾何学の検討として、遠距(望遠)離撮影時の長焦点レンズを対象に、人工衛星画像の歪み補正技術であるアフィン投影幾何学の適用性について検証し、基本原理の確認及び適用手法の検討を行った。 ・解析の効率化の検討 測定対象に設置するターゲットを二次元コード化することで、画像解析のターゲットへの番号付けの自動化、及びターゲット位置を基準とした撮影位置・角度の外部標定の自動化を可能にする手法の検討を行い、解析作業自動化の見通しを得た。 ■電波位相差式測距計測技術 発信器及び受信機の配置や電波マルチパスが計測精度に及ぼす影響について検討し、実用化の上での精度、コスト的な問題を把握した。
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