研究課題/領域番号 |
20360236
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研究機関 | 岩手大学 |
研究代表者 |
海田 輝之 岩手大学, 工学部, 教授 (30117072)
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研究分担者 |
伊藤 歩 岩手大学, 工学研究科, 准教授 (90312511)
石川 奈緒 岩手大学, 工学部, 助教 (10574121)
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キーワード | 複合重金属 / 付着藻類 / 水生昆虫 / 河川生態 |
研究概要 |
河川生態系の主要な構成要素である水生昆虫と藻類の生息に及ぼす重金属の影響について、金属が単独で存在する場合と異なる金属が共存する場合について室内実験により検討した。 水生昆虫に関しては、岩手県盛岡市を流下する中津川で採取したヒラタカゲロウ(科)を用い、15℃に保った河川水1Lにヒラタカゲロー15匹と種々の濃度のカドミウムと銅を単独あるいは双方を添加し、それらの急性毒性について経日的な死亡率から検討した。カドミウムでは1mg/L以上、銅では3mg/L以上添加すると7日以内で死亡率は100%であり、カドミウムと銅の96時間LC_<50>は各々0.4、0.6mg/Lであった。さらに、各LC_<50>を毒性当量1とし、2つの金属が共存する場合について検討した。その結果、毒性当量が1以上ではカドミウムと銅は相乗的に作用し、0.5では各々の毒性が緩和されることが分かった。 藻類に関しては、緑藻のChlorella vulgarisを用いて、25℃、12/12時間の明暗培養を行い、クロロフィルa濃度の経時変化より重金属の影響を検討した。銅及びカドミウムが単独の場合、各々の濃度が0.03mg/Lでもブランクよりクロロフィル濃度の減少が大きく僅かであるが阻害した。カドミウムと銅(0.05mg/L)が共存する場合には、カドミウムの濃度が高くなるに従って複合影響の程度が大きくなった。また、亜鉛と銅(0.05mg/L)が共存する場合でも同様の複合影響が見られた。 従って、従来重金属単独での実験結果から水生生物の影響が議論されてきたが、金属が単独で水環境中に存在する場合は非常に希であることから、金属の複合的な影響を考慮する必要性があることを明らかにした。
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