研究課題/領域番号 |
20360242
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研究機関 | 北九州市立大学 |
研究代表者 |
楠田 哲也 北九州市立大学, 国際環境工学部, 教授 (50037967)
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研究分担者 |
門上 希和夫 北九州市立大学, 国際環境工学部, 教授 (60433398)
上田 直子 北九州市立大学, 国際環境工学部, 准教授 (10433400)
島谷 幸宏 九州大学, 工学研究院, 教授 (40380571)
山西 博幸 佐賀大学, 低平地研究センター, 准教授 (20240062)
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キーワード | カワスナガニ / メガローパ / 北川河口 / 甲殻類 / シミュレーション / 化学物質 |
研究概要 |
北川にて、カワスナガニを中心に甲殻類の存在種、分布密度の調査を継続した。調査結果は、従来の傾向と大差はなく、個体数は増加傾向にあった。生活史を確定するために生残率向上を目的に、餌料密度の増加とゾエアの飼育密度を低減して試みたが、メガローパから成体まで育てることはかなわなかった。北川における生息環境を検討するために、カワスナガニ等への有害物質の影響を評価するため,北川河口域の底質中の948種の化学物質と11種の重金属を調査した。米国立海洋大気圏局(NOAA)の底質ガイドラインが設定されている物質についてガイドライン値と実測値とを比較したところ、化学物質の影響は無視できる程度であり、重金属もAsを除きERL(水生生物に影響を与える可能性が少ない濃度)を超える物質はなかった。しかし、Asの検出値はERLの2倍であり、何らかの悪影響を与える可能性が無視できないと考えられた。この点はAsの由来を含め今後検討することにした。生息環境を定量的に表現するために一般化線形モデルによるカニ類の生息環境推定モデルを作成し推定した。おおよそ推定できるようになったが、良好な生息環境でも生息していない場合に良好でないと判定されるのでこの点を克服できるモデルの樹立と精度の向上とをさらに目指すことにした。良好な生息環境への選好性を確認するために人工的な河床をやや細かい河床上に構築しカワスナガニの集積を調査している。さらに、この環境を維持するには安定的な物理環境が必要で、河岸の植生を適切な状態に保ち、土砂の流出を抑制する等の対策が必要であることが判明した。
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