研究概要 |
(1)原虫およびウイルスの濃度レベルの評価 養豚場の廃水処理施設の流入水および放流水を採取し,原虫およびウイルス濃度を測定した。その結果,原虫(クリプトスポリジウムとジアルジア)濃度は一年を通して流入水中濃度が高く変動が少なかったが,ウイルス(E型肝炎ウイルス,アデノウイルス)の流入水中濃度は冬期に高く,夏期には低い傾向が見られた。また,バルキングが生じたときのみ放流水中からも原虫やウイルスが検出された。 (2)原虫およびウイルスの除去率の評価 養豚場の廃水処理施設への流入水と放流水中の濃度から,クリプトスポリジウム,ジアルジア,E型肝炎ウイルス,アデノウイルスの除去率を算出した。その結果,平常運転時の原虫及びウイルス除去率は3~4log(99.9~99.99%)と高い値であったが,バルキングが生じると1log(90%)以下になることを確認した。 (3)紫外線不活化効果の評価 畜産廃水処理施設の放流水を採取し,濁質や溶存成分が紫外線不活化に及ぼす影響を大腸菌(群)および枯草菌を用いて評価した。紫外線を吸収する色度成分の影響が大きいことが明らかとなった。得られた結果に基づき,実規模の施設に適用する紫外線照射装置の紫外線強度や水層厚を最適化し,装置を設計・製作した。 (4)畜産廃水処理施設への紫外線照射装置の導入 愛知県内の畜産廃水処理施設および静岡県の畜舎給水施設へ(3)で設計・製作した紫外線照射装置を設置し,実規模施設での消毒効果の評価を開始した。
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