研究概要 |
複数の消毒法を組み合わせることにより,微生物不活化に相乗効果が見られることがあると報告されている。そこで本研究では,塩素あるいは過酸化水素と微生物を接触させた後に紫外線を照射した場合,発現する不活化効果が相加的であるのかあるいは相乗的であるのかを定量的に評価した。 塩素/紫外線によるC.parvumの不活化 紫外線線量が増加するとともにC.parvumの相対感染力は指数関数的に減少し,1 log_<10>(90%)不活化線量は1.25mJ・cm^<-2>となった。また,塩素処理の場合もCT値が増加するにつれて相対感染力が指数関数的に減少し,1 log_<10>不活化CT値は833mg・min・l^<-1>となった。 塩素単独処理と紫外線単独処理の不活化log_<10>数の和と塩素/紫外線処理の不活化log_<10>数とを比較したところ,組み合わせて処理することにより1 log_<10>以上不活化効果が高くなった。 塩素/紫外線によるB.subtilisの不活化 塩素単独処理と紫外線単独処理の不活化log_<10>数の和と塩素/紫外線処理の不活化log_<10>数とを比較したところ,塩素濃度1mg・l^<-1>,紫外線線量12.0mJ・cm^<-2>程度では紫外線処理と組み合わせても相乗効果は発現しなかった。 過酸化水素/紫外線によるB.subtilisの不活化 過酸化水素濃度5.0mg・l^<-1>未満,紫外線線量12.0mJ・cm^<-2>以下の場合は0.51og_<10>以下の相乗効果しか得られなかったが,過酸化水素濃度5,0mg・l^<-1>以上,紫外線線量12.0mJ・cm^<-2>以上とすると1 log_<10>以上の相乗効果が認められた。 また,過酸化水素濃度を30.0,50.0mg・l-1と高くしていっても相乗効果は大きくならず,過酸化水素濃度が5.0mg・l^<-1>以上であれば,相乗効果は紫外線線量に依存して大きくなった。
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