研究課題/領域番号 |
20360244
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
武田 信生 立命館大学, 総合理工学研究機構, 教授 (20026256)
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研究分担者 |
大下 和徹 京都大学, 工学研究科, 助教 (90346081)
高岡 昌輝 京都大学, 工学研究科, 准教授 (80252485)
吉原 福全 立命館大学, 理工学部, 教授 (30174999)
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キーワード | ジメチルエーテル / PCBs / ダイオキシン類 / 底質 / 抽出 / 脱水 / 溶媒 / 常温 |
研究概要 |
本研究は、液化ジメチルエーテル(以下、液化DME)を用いた汚染底質中のポリ塩化ビフェニル(以下、PCBs)、およびダイオキシン類の除去システムを構築するにあたり、まず、DME流通式の試験装置を用いて、底質の種類、液化DME線速度や液固比(液化DME量/底質量)、底質の試料径をパラメータとして変化させ、水分、およびPCBsの抽出特性を明らかにした。また一部の底質についてはダイオキシン類の抽出特性も明らかにした。 平成20年度の研究の結果、抽出実験系でのマスバランスの整合性を確認した上で、線速度0.132mm/sec、試料径4mm、液固比60mL/gの条件で、5種類の底質全てについて、水分:96.4%以上、PCBs:86.4%以上を常温で、同時に抽出除去することができた。また、同条件でダイオキシン類を98%以上抽出することができた。しかし、分析した底質組成とPCBs、水分の抽出特性とは関連付けることはできなかった。 最適条件としては試料径を2mm、線速度を0.132mm/sec程度にすれば、液固比60mL/g以下で、底質の高度浄化が可能であることが示唆され、さらに、エントレーナーとしてトルエン、またはヘキサンを底質1gに対し、0.2mL程度添加することで抽出率の向上が確認できたため、更なる高度化が期待できる。 また、従来、高いPCBs抽出能を有するとされるエタノール、イソプロパノールを対象とし、液化DMEとのPCBs抽出能の比較を行ったところ、液化DMEがPCBs抽出溶媒として遜色ないことが示され、再利用が容易である点で、液化DMEの優位性が期待できた。 抽出時の現象として、特に高塩素化PCBsの脱塩素化が生じ得ることが明らかとなった。抽出による脱塩素化により、PCBsの毒性が高まることも懸念されるため、その原因が溶媒にあるのか、底質にあるのかを今後明らかにする必要がある。
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