研究課題/領域番号 |
20360244
|
研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
武田 信生 立命館大学, 総合理工学研究機構, 教授 (20026256)
|
研究分担者 |
大下 和徹 京都大学, 工学研究科, 助教 (90346081)
高岡 昌輝 京都大学, 工学研究科, 准教授 (80252485)
吉原 福全 立命館大学, 理工学部, 教授 (30174999)
|
キーワード | 有害化学物質 / 水質汚濁・土壌汚染防止・浄化 / ジメチルエーテル / ポリ塩化ビフェニル / ダイオキシン類 / 溶媒抽出 / 常温 / 汚染底質 |
研究概要 |
本研究は、都市河川・港湾の底質固形分に、ポリ塩化ビフェニル類(以下、PCBs)などの有害化学物質が濃縮されていることが多いが、汚染底質の根本的な処理には、多くのエネルギーやコストが必要となる状況に鑑み、新しい溶媒として液化ジメチルエーテル(以下、液化DME)を用いた汚染底質中のPCBs、およびダイオキシン類の抽出除去システムを構築することを目的とした。 平成21年度は、実汚染底質を対象に、回分式DME抽出実験を行い、平成20年度に実施した流通式DME抽出実験との相違点から、水分の影響を推定した。また、液化DMEの最大の利点である溶媒回収、再利用に重点を置き、液化DME回収・再利用の検討を行った。 以下に得られた主な成果を示す。 1.液化DMEを用いた底質中PCBsの回分式抽出 液化DMEによる回分処理回数を増加、すなわち液固比(液化DME/底質)を増加させるほど、底質中PCBsの抽出率、および水分の抽出率が増加した。浸漬時間に関しては、増加させるほどPCBs抽出率は増加したが、水分抽出率は低レベルで変化しなかった。 この原因は、水分飽和度の高いDMEが、底質中水分の拡散を妨げること、および液化DMEのPCBsと水分の飽和溶解度の差によるものと考えられた。これにより、PCBs抽出液量を少なく、PCBs濃度を高くコントロールできる可能性が示唆された。最適抽出条件は浸漬時間10min×3バッチであり、PCBs抽出率90%以上が確保できた。 2.抽出利用後の液化DMEの回収、およびその再利用の検討 流通式DME抽出実験装置を用い、底質からのPCBs抽出、DME分離・回収・再利用を5回繰り返し実施した結果、水分抽出率、およびPCBs抽出率はほとんど変化せず、使用したDME回収率は99-102%であり、使用したDMEのほぼ全量を回収しつつ、安定したPCB抽出率、水分抽出率を得ることができた。
|