昨年度に引き続き、性能可変オイルダンパーを設置した転がり支承免震試験体を対象として、東北大学振動台による振動実験を再度実施し、性能可変オイルダンパーの一般的特性を評価した。また、旭化成と共同研究を行い、旭化成の技術研究所が製作したすべり支承免震試験体に東北大学の性能可変オイルダンパーを設置し、同技術研究所の振動台で加振実験を行った。その結果、戸建免震住宅でもっとも多く使用されているすべり支承免震建物に対しても、本ダンパーが有効であることを明らかにした。この結果について解析的検討も行い、その成果を日本建築学会東北大会に発表した。 また、性能可変オイルダンパーは、免震建物を対象とした場合には、ダンパー長さが大きくなり、実際の戸建住宅に使用する場合に支障があるとの意見に対して、新たにユニフローダンパーを設計し、その試作品を製作した。このダンパーは、油圧室の長さを短くすることにより全長が短くなり、設置しやすくなるので、実用的であることが分かった。 実際の戸建住宅への適用性については、設計で想定している中小地震、大地震レベルのほか、想定外の巨大地震に対して、それぞれ、加速度と変位についてクライテリアを定めて、それを満足できるシステムの設計を試みた。この際には、設計パラメータが多種類あるため、パラメトリックスタディに煩雑さが伴うため、最適設計手法を取り入れる試みを行った。その結果、短時間でよいパラメータ設定ができる可能性が明らかになった。来年度、この検討をさらに進め、実際の設計を支援できるツールにしたいと考えている。
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