研究課題
本年度は実スケール防水層の台風時の実測と風洞試験を行い、以下の成果を得た。(1) 沖縄県宮古島の試験棟で、台風13号(2008年9月12日)時に塩化ビニル樹脂シート機械的固定工法防水層の挙動観測を実施した。今回の台風は中規模のものであり、10分間最大平均風速は13m/s程度であったが、屋根面のコーナー部に大きな負圧力(今回観測では-500Pa)、それに連動してコーナー部近傍のファスナーに大きな引張力(70N)を観測した。また、風速、風圧力、ファスナーの軸力間の関係を明らかにした。これは防水層耐風設計の基本的フレーム構築時の基本データとして活用できる重要な成果である。(2) 実防水層の下面から空気を用いて加圧する試験方法を開発し、人工的に強風時の防水層を再現する試験を行った。防水層のふくれ高さ、ファスナーに作用する力を測定し、加圧力と防水層の関係を明らかにした。この結果は台風時の挙動とほぼ一致していることを確認し、今後開発する予定の簡易的な耐風試験方法作成に有益な知見を得た。(3) 実スケール防水層(試験体面積2m×3m)のファスナー部の一部に、今回購入した6分力計を用いての風洞実験を行った。いくつかの予備測定により、鉛直上向き方向の引き抜き力と同時に、横方向への力も発生している可能性のあることを見出した。これは従来の耐風性評価に欠落している重要な視点であり、次年度本格的に研究する予定である。(4) 数値解析による強風時における防水層の挙動解析については、その前段階として、シミュレーション方法について検討した。
すべて 2008
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (6件)
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