研究課題
本研究は、近い将来の東海・東南海地震において発生する膨大な建物構造被害の情報・資料を最大限に収集するために、広域の建物群に関する戦略的な強震観測体制を新たに提案し、名古屋圏において試験的に稼動することを目的とする。研究内容は大別して以下の4点であり、それぞれ20年度の成果をまとめる。(1)地盤・建物・都市の基盤データ整備とGISプラットフォーム構築による最適観測戦略の検討名古屋市を中心とした愛知県下の地盤・建物・地震動予測結果、既往の強震観測記録を収集・整理し、一元利用できるウェブGISのプロトタイプを構築した。今後継続的に情報を蓄積し、最適観測戦略の検討に活用する。(2)安価・旧式の観測機材による低コスト強震観測環境の整備K-NET95強震計の動作試験と機能拡張を検討し、コストも含めて目的に応じた数通りの利用法を試みた。また一般的な普及型地震計や廉価型地震計もあわせて、振動台実験などにより特性の確認を進めた。(3)人的ネットワークによる観測体制の構築と、それを支える教材・教育法の開発愛知県内の高校教員の協力により、地震計を高校校舎に設置し、観測を開始した。強震計管理・利用ソフトウェアを開発・提供して、一般の協力者による地震観測記録の回収をテストし、同時に防災教育に結びつけている。(4)強震観測記録から建物被害を適切に評価するための機材・データ処理技術の開発。強震計による建物応答と構造被害評価の可能性と、観測機材や観測点配置の関係について検討を開始した。中低層建物の地震観測記録に基づいて、非線形挙動や動的相互作用を含む応答特性評価の可能性を検討した。また振動台実験による構造損傷を伴う建物応答について、旧型・廉価型強震計による評価を検討した。現状では、構造被害に伴う固有振動数の変化の検出は十分可能であるが、被害位置や程度を適切に評価できるか検討を継続している。
すべて 2009 2008
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (8件)
日本建築学会技術報告集 第15巻第29号
ページ: 61-64
構造工学論文集 Vol. 55B
ページ: 577-582
14^<th> World Conference on Earthquake Engineering DVD-ROM
ページ: Paper No. 09-01-0023
14^<th> World Conference on Earthquake Engineering (DVD-ROM)
ページ: Paper No. 02-0052