研究概要 |
(a)補強効設計フロー構築へ向けた問題点の検討と補強設計法の現状調査 過去の補強事例の工事報告書に関する詳細な文献調査を行い,現状の補強設計法の長所と短所を整理した. (b)超弾性合金の利用による残留変形抑制に関する検討 直径が4mmと8mmの棒材を試作し,良好な超弾性効果が得られることを確認した。今後,これらの超弾性合金棒を挿入した煉瓦壁の力学特性について調査を行う予定である。 (c)ピンニング補強煉瓦壁の力学モデル構築 無補強煉瓦試験体の面外曲げおよび面内せん断挙動を対象に,汎用有限要素プログラムDIANAを用いて解析を行い,単調載荷時の復元力特性と目地破壊モードを再現できることを確認した。また,鉛直力の変化により,目地破壊モードがどのように変化するかについて検討を行い,既往の理論予測式との対応を確認した。今後,ステンレスピン挿入補強を施した煉瓦壁試験体の解析を行う予定である。 (d)開口部付煉瓦壁試験体の面内曲げせん断特性 開口部を有する無補強及び補強煉瓦壁試験体の静的繰返し面内曲げせん断を実施し,以下の成果を得た。面内方向の階段状目地破壊を抑止する手法として,水平目地に沿って接着剤とともにピンを挿入する補強法を新たに提案し,実験を通じて,提案手法の有効性を確認した。また崩壊モードを適切に仮定することで,補強効果を簡便かつ安全側に評価できることを例示した。
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