研究概要 |
(a)無機系接着剤の検討 これまで,ピン挿入時には有機系接着剤であるエポキシ樹脂を用いてきた.しかし,有機系接着剤に対しては耐久性や耐火性を問題視する声があり,提案補強法の普及に向けて大きな障害となっている.そこで本年度は,煉瓦単体に金属棒を挿入する場合において有効な無機系接着剤の組合せに対する検討を行い,高い施工性と強度特性を持つポリマーセメントモルタルの配合を見出した.またこれを用いた煉瓦壁試験体の面外曲げ実験を実施し,施工性を確保した上で,強度と靭性を向上できることを実証した. (b)超弾性合金の利用による残留変形抑制に関する検討 これまでに1/2スケールの煉瓦を用いた縮小試験体振動台実験を実施し、超弾性合金の利用による残留変形の抑制効果を実証している。本年度は汎用非線形有限要素プログラムDIANAを用いて解析モデルを構築し,準静的繰返し載荷実験及び振動台実験の結果との比較を通じて解析モデルの妥当性を検証した. (c)無補強及びピンニング補強煉瓦壁の力学モデル構築 これまでの実験結果に基づき,無補強及びピンニング補強を施した煉瓦壁の強度や変形性能などに関する有限要素モデルを構築し,実験との結果の比較を通じてその妥当性を検証した.
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