本研究では、強風下における飛来物の衝撃を模擬することができる試験装置を作成し、種々の外装材を用いた耐衝撃試験を行い、飛来物に対する外装材の耐衝撃性能と破壊性状を調べた。得られた試験結果を基に、板ガラス(フロートガラス、強化ガラス、網入りガラス、合わせガラス、フィルム張りガラス)、ベニヤ板、雨戸の耐衝撃性能をISO規格に準じた評価基準により評価した。また、ISO規格と、そのもととなった合衆国のASCE規格やASTM規格等の既存の耐衝撃性能評価方法を調査・検討し、ISO規格で定められた耐衝撃性能評価方法を日本の強風災害に適用する際には、・建築物の防御レベルを設定し、設計に受け入れられる必要があること、・強風ゾーンにおける風速を10分間平均風速で規定する必要があること、・瓦などの飛来物に対する耐衝撃性能の評価に対応することができること、・載荷圧力に建築物の設計風圧を適用する必要があること、・簡略化した圧力載荷順序も考えられること、等の問題点、改良すべき点があることを示した。さらに、ISO規格では日本における強風災害の主な原因となっている屋根瓦に対する耐衝撃性能評価基準が定まっておらず、これを明らかにする必要があるため、瓦を加撃体として射出できる装置を開発し、ISO規格等で用いられる加撃体との対応を明らかにした。最後に、それらの結果をふまえ、既存の耐衝撃性能評価方法と整合性のとれた日本国内用の規準やガイドラインの作成に資するための標準加撃体の試案を示した。
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