事務所ビル2棟及び千葉大学内の部屋において、室内環境を変化させ、その物理的環境を計測するとともに主観調査法あるいは生理調査法による知的生産性評価を行い、各種の環境条件と知的生産性の関連についての予備的な調査を行った。以下に光環境にかかわる調査結果を示す。` 1.ブラインドの開閉による眺望や昼光導入の条件と知的生産性の関係性を調査した。その結果、知的生産性に関孫する空間印象の評価の傾向にブラインドの開閉に起因すると思われる違いが見出された。 2.窓からの昼光条件とグレア感および知的生産性との対応関係に関する実験室実験を行った。その結果、知的生産性に影響を与える空間印象について、昼光によるグレア感との問の関係性の知見が得られ、グレアを僅かながらかんじる程度の昼光導入が開放感や気分転換に寄与する一方で落ち着きは確保し、結果として知的生産性に貢献する可能性が確認された。 3.休憩室の照度条件が、執務室での作業への集中度や生体リズムに及ぼす影響を明らかにするため、既存の生理計測手法を援用した総合的な検証実験を行った。結果、休憩室での短時間の日照が、唾液中のメラトニンやコルチゾール分泌量などから推定される生体リズムに対してよい影響を与えていることを確認した。また瞬目計測や作業成績から休憩前後での作業に対する集中度を推定し、休憩室での短時間の日照が知的生産性に与える影響を定量化した。 4.唾液中のメラトニンとコルチゾールの分泌量の変動から推定した生体リズムと、三軸加速度計を用いて計測した被験者の睡眠中の体動の頻度とを比較し、三軸加速度計による生体リズム計測の可能性を検討した。 このような実測・実験の一方で国内外の知的生産性研究の動向を調査し、この分野における最新情報を収集した。
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