研究課題/領域番号 |
20360270
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
阿部 浩和 大阪大学, サイバーメディアセンター, 教授 (20346125)
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研究分担者 |
横田 隆司 大阪大学, 工学研究科, 教授 (20182694)
小浦 久子 大阪大学, 工学研究科, 准教授 (30243174)
宮川 智子 和歌山大学, システム工学部, 准教授 (30351240)
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キーワード | 土壌汚染 / 都市再生 / 未利用地 / 都市計画 / 国土開発 / 国際情報交換 / 英国 |
研究概要 |
本年度は当該研究に関して以下の調査・分析を実施した。第1段階として前年度の予備調査の整理及び日英の研究者による検討会を実施した。具体的には日本(大阪)と英国(マンチェスター)におけるブラウンフィールド再生に関わるコンテキストの比較とサンプル調査の結果等について、オックスフォードブルックスで開催されたワークショップにおいて報告し、日英の研究者間で意見交換を行った。第2段階としてブラウンフィールド再生事業に関わるステークホルダーの認識調査を実施した。ここでは大阪とマンチェスターにおける再生事例をそれぞれ5件ずつ選定し、それらに関わるステークホルダー合計32名に対して日英同様の調査項目によりインタビューを実施した。さらに大阪に関しては泉州地区を対象に再生の障害要因についてアンケート調査を実施しDEMATEL法を用いた分析を行った。第3段階としてこれまでの調査結果に基づいて再度フォーカスミーティングを実施した。以上で得られた主要な知見としては1.プラウンフィールド再生に関する日英のコンテキストの微妙な違いは重要であること、2.英国でのブラウンフィールド再生は「サスティナブルデベロップメント」という国家戦略の一環として認識されているが、日本ではそのような認識は一般的ではないこと、3.住宅系のデベロッパーでは「土壌汚染」が開発障害の一つとして認識されているが、必ずしも最大の阻害要因ではなく、むしろ経済不況や土地の細分化に起因する問題、地権者の合意形成の問題のほうがより大きな障害になっていること、4.再生後のランドスケープに関して、日本ではその大半が既存の建築物を取り壊しているが、英国では既存の工場や倉庫を取り壊すことなく再利用している事例が多いこと、5.いずれの地域も現在の経済不況を克服できる特効薬はないものの、目先の対策に終始するのではなく、明確で長期的なヴィジョンを持つ必要であり、公共セクターが一方的に支援するだけではなく民間との良好なパートナーシップがより重要であることなどを示した。
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