研究課題/領域番号 |
20360271
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研究機関 | 大阪教育大学 |
研究代表者 |
碓田 智子 大阪教育大学, 教育学部, 准教授 (70273000)
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研究分担者 |
西岡 陽子 大阪芸術大学, 芸術学科, 教授 (20133514)
岩間 香 摂南大学, 外国語学部, 教授 (50258084)
谷 直樹 大阪市立大学, 大学院・生活科学研究科, 教授 (40159025)
増井 正哉 奈良女子大学, 生活環境学部, 教授 (40190350)
中嶋 節子 京都大学, 大学院・人間環境学研究科, 准教授 (20295710)
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キーワード | 町家 / 町並み / 歴史的ストック / まちづくり / 空間演出 / 祭礼 |
研究概要 |
イベント型の屏風祭りとひな祭りの両者を対象に現地調査を行い、伝統的な町家やまち並みの空間利用とまちづくりとの関わりについて検討を進めた結果、以下の知見が得られた。 1.祭礼の住文化を活用したイベント型伝統行事における歴史的ストック活用について 村上町屋の屏風祭り(新潟県)、三条屏風祭り(新潟県)を対象に現地調査を行った。屏風祭りの場合は、都市祭礼に由来する屏風のストックを持つ地域に開催が限定される。屏風の展示場所が町家の座敷になることが多いので、見物人はふだん見ることができない町家内部の居住空間を訪問し、住民と交流を深める機会を得やすい点が特徴的であった。 2.イベント型雛祭りと住民参加型まちづくりについて 全国では約120カ所でひなまつりイベントがみられる。とくに平成10年以降、歴史的ストックを舞台にした町並み回遊型のひなまつりイベントが全国的に急増していることが明らかになった。また、行政の手に寄らず、雛祭り実行委員会など、住民主体の組織によって開催されているものが半数近くを占めた。引田のひなまつり(香川県)、高取町家の雛めぐり(奈良県)、村上町屋の人形さままつり(新潟県)などを対象に現地調査を行った結果、ひな祭りイベントは、手作り雛や小物の雛人形でも参加でき、店先あるいは玄関先や住宅の外部空間での展示も可能であるという手軽さが、住民参加型のイベントとなりやすい性質を持っていると考えられた。住民が気軽にまちづくりイベントに参加できる反面、屏風祭りと比較すると見物客が町家の内部を訪問して、住民と交流する機会が薄くなる点が明らかになった。 以上のように、イベント型伝統行事での町家や町並みの空間の利用方法の違いが、住民の内発的なまちづくり活動への関わり波及していることを示唆できた点が、平成20年度の研究成果といえる。
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