本研究は、中学校の教育改善に有効な運営方式として計画例が増えている教科センター方式について、その有効性や問題点として言われていることを、実際の運営・教育展開・教科の環境構成の実態、教職員および生徒の評価を通して検証し、計画上の課題を明らかにすることを目的とする。初年度は調査対象として、近年建設され、ホームベースの有無・性格・位置、教科ユニットの構成方法、教職員スペースの構成等についてプランタイプや学校規模の異なる教科センター方式中学校を選び、次の内容で調査を行い、集計・分析を進めている。結果の一部は建築学会大会で報告を行った。 ○教室移動の様子、生徒の自由時間の居場所の選択、メディアセンターやホームベースの環境構成、教員の行動パターンや執務場所、教員と生徒のコミュニケーション等について観察・記録による実態調査および時間割分析をもとに実態把握と分析を行った。 ○計画に参加した教員および転入してきた教職員を対象に、教科センター方式を経験する前後における、教育指導上の有効性、生活面の問題点等についての評価の変化について、アンケート調査を実施し、結果をまとめた。 ○従来型の旧校舎での生活経験がある学年の生徒に対して、従来型と教科センター方式における施設の評価、移動・交流・居場所等についてアンケート調査を行った。 ○教科センター方式の学校を経験した後、従来型の学校に転出した教員を対象とした追跡調査としてアンケート調査を行い、従来型校との比較を通した評価を明らかにした。 ○教科センター方式中学校で校長を務めた後、従来型校に転出または退職した校長に対する追跡調査としてヒヤリング調査を行った。
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