前年度は、主に教科教室型への移行時の教師と生徒、特別教室型校へ転出した教師等を対象に、教師・生徒の取り組み、意識や評価、意識等の変化について調査した。本年度はそれを受け、教科センター方式は規模の大きい学校には難しいという意見があることに対して、実施校の中から比較的規模の大きい学校を選び(15~30クラス)、平面の特色(移動動線、ホームベースの位置づけ・大きさ・配置の違い、運営の特色、経過年数等の違いを勘案しながら、次の調査研究をまとめた。 (1)平面形の違いによる移動時間や移動行動、移動に対する評価や行動の実態-移動動線をタイプ化し、それぞれの移動特性について明らかにした。 (2)各学校における教科教室・メディアスペースの掲示や家具配置等による教育環境構成の実態を教科ごとに把握し、その内容をもとにタイプ分類を行った。 (3)ホームルーム教室やホームベースを通常多くみられる学年のまとまりによる配置ではなく、1~3年の縦割り集団で配置した事例(4校)を対象に、その意図や効果および生徒の行動実態を把握した。 (4)教員スペースの計画について、中央の校務センターと教科ごとに分散配置された教科ステーションに計画タイプの違いに応じた、教師の活動場所の選択や行動パターン、執務や交流の実態について把握した。 (5)アメリカ(ニューヨーク市、ウィスコンシン州オークレア市)、スイス(チューリッヒ市、ビール市)、韓国(ソウル市)の、中・高等学校における教科教室型運営方式の視察を行い、我が国との比較考察を行った。 (6)最終年度の目標の一つである、全国の教科センター方式採用校の情報交流ネットワークの構築に向けて、福井大学教育学部ほかの関係機関との意見交流を行った。
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