主体的に学ぶ力の育成を目標とし、学びの協同、教師の協働の実現を図ろうとする中学校計画において、教科教室型運営方式を採用し、教科教室と教科メディアスペースを組み合わせた教科センター方式による施設計画が注目されている。一方、従来一般的な特別教室型と比べ、移動や居場所等の生活様式が変わること、またその長所を生かすための環境構成や運営方法についての知見が求められ、運営方式の変化という生活環境の変化に対する意識や行動の変化や順応性について実態を明らかにする必要がある。本研究はこのような問題意識と目的をもって20年度より進めてきたが、22年度はこれまでの調査結果を踏まえながら、平面タイプや教育的取組の異なる先進校6校を対象として生徒、教員双方について運営方式についての意識や評価、移動や居場所の選択、教員室の配置とコミュニケーション等、様々な観点から調査を行った。その結果の分析、考察をもとに、教科メディアスペースの教育環境構成方法、教員スペースの配置・構成について計画上の知見をまとめた。従来型施設から教科センター方式による施設への変化を環境移行ととらえ、前後の生活体験のある生徒、教師を対象に行動の変化や意識・評価についてまとめた。また、研究計画に沿って、全国の教科センター方式校が集まり、情報交換をする場として、第1回教科センター方式校ネットワーク会議をカリタス女子中学校・高等学校を会場として開催し、全国20校余りの参加を得た。教育学者の出席もあり、施設と教育の横断的な研究体制を整えることができ、各校からも期待された。なお、23年度には第2回会議を長岡市立中学校にて開催した。研究成果は、日本建築学会、芸術工学会にて発表を行うとともに、教科センター方式を採用して計画・建設の議論が進められた板橋区立中台中学校、赤塚第二中学校における検討会においても実践的に生かされている。
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