建設作業における重機接触災害の低減を目指して、無線ICタグやカメラ画像などの情報通信技術を活用して作業者、重機、部材などの位置情報などを収集し、接触災害の原因となるヒューマンエラーを防止するための仕組みの構築を目的とし、2008年度は以下の項目の研究を行った。 (1)災害事例の収集分析 建築作業に関連する災害事例の中で、重機や車両を起因物とする62件に対して、発生傾向の把握、発生状況のモデル化を行った。 (2)支援システムの基本機能設定 作成した災害発生モデルに基づいて、接触災害に必要な基本機能を、「測定すべきデータ」、「把握すべき状況」、「伝達すべき警告」とし、各重機の接触部位ごとに纏めた。その結果、重機の稼働範囲周辺の作業者の有無、重機の稼働中における作業者の立ち入り可能性、周辺作業者の重機の稼働範囲の認識状況などが求められる機能として抽出された。 (3)位置測定ツールの選定 抽出した基本機能を達成させるための情報の一つとして、作業者や重機の位置情報を取り上げ、その測定ツールとしてアクティブ型無線ICタグの適用性を検討した。その結果、重機周辺の作業者の存在有無は認識可能であるが、緊急停止に利用する場合には位置測定の精度を向上させる仕組みが必要であることを確認した。
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