無線ICタグを用いた建設機械の接触災害防止のための支援システムを構築することを目的に、下記の項目の研究を行い。その成果として、プロトタイプ装置および、性能向上のための評価が出来た。 1.基本仕組みの構築 建設機械と作業者が接近している状態を示す尺度として接近度を提案し、接触の可能性を推定するための方法を構築した。接近度の算出は、無線通信機器が発信する電波の強度を示す受信強度を用いて建設機械と作業者の位置関係を測定し、その結果を用いて行った。警告の発信は、接近度の経時的変化をモニタリングすることで、接触の可能性を判断して行う。 2.プロトタイプの構築 基本仕組みに基づいて、作業者に警告を発信するためのプロトタイプ装置を作成した。作成した装置は現場での汎用性を考慮して、市販の無線LAN装置を用いた。基本的な実験を行い、データの処理が問題なく行われることを確認した。 3.有効性の確認 算出した接近度と接近状態の関係を確認するための実験を行った。その結果、接近度は作業者と作業機械の間の距離に概ね相関していることを確認した。また、接近度の精度の向上のため、カメラやレーザースキャナなどのセンサーとの併用を検討した。さらに、実際の工事現場における実用性の検討を行った。機械の取り付け、データの収集、警告の発信を行い、適用への問題点を整理した。また、作業者へのヒアリングを行い、警告の信頼性の向上、警告手段の簡素化などの改善が必要であることを確認した。
|