本研究は、北海道・樺太の建築活動に関わった人々の系譜及び全体像を明らかにし、最終的に北海道・樺太建築人名データベースの作成を目的としている。本年度は(1)営繕関連職員として204名を収集し、(2)建築家マックス・ヒンデルの離日後の活動に関しては、離日後のRegenにおける居住地、墓碑および勤務高校の確認のほか、生誕地チューリッヒにおいて住民登録簿の確認作業も実施することができた。(3)建築家田上義也の戦後の活動に関しては、14ユースホステル、北海道銀行19支店、北海道銀行福利厚生15施設を中心に、主要な作品リストと30件800枚の図面リストをとりまとめた。(4)民間建築家・民間技術者としては、既往研究から中村鎮、亀井勝次郎、指田近之助、三浦才三、石井喜助、佐立忠雄などの経歴・活動を収集した。また三井美唄鉱業所の職員録を収集したものの、詳細な人名調査は次年度の課題とされた。(5)棟札による建設業者・建築職人の収集としては、制約が多く、あまり成果は挙げられなかったものの、14件の棟札から、棟梁、石工等の氏名を収集することが出来た。 (6) 戦前期地方新聞の建築関連記事の収集からは、約400名の請負人、業者名を収集した。ただし、新聞記事の掲載の人名とおりにしてあるので、フルネームと苗字のみとの人物とを別にカウントしているため、同一人物かどうかの確認は今後の課題として残されている。 以上のように、現時点で、北海道における600名以上の人名が確認され、うち約200名の経歴を明らかにすることが出来た。
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