本年度は、(1)営繕技術者の調査、(2)民間建築家、民間技術者の抽出では、北海道樺太人名録(昭和17、19年)、北海道自治関係職員録(昭和7、9年)、樺太年鑑(昭和14年)などから、官庁系506名、民間146名、請負業組合など諸団体286名を収集した。官庁系の技師、技手、技術員、雇のうち、土木技手など建築系以外の人名は除いた。(3)建設業者・建設職人の事績調査では、聞き取りを実施した伊藤塗工部(大正7年創業)のほか、札幌電話番号簿(昭和7年)から106名を収集した。その内訳は、請負(大工含む)76名、煉瓦請負(ペチカ築造含)3名、左官7名、建具4名、石工2名、コンクリート業2名、その他7名である。また25名の請負業者の事績をまとめた。(4)戦前期地方新聞の建築関連記事の収集と建設業者・建築系職人の収集では、715件の関連記事と、194名の建設請負業者(重複を含む)を収集した。 本年度は最終年度にあたり、北海道・樺太の建築関連人名データベースとして、769名についてまとめることができた。デーベース項目としては、氏名、生没年、出身地、住所、経歴、設計・請負建物名、関係者、公職歴、受賞歴、資料名としたが、ほぼすべての項目を埋めることができたのは、178名である。人名のみの多くのデータもあるが、これらについては今回は追録していない。これまでに北海道・樺太の官庁営繕・民間技術者・建築家、建設業者を一括してまとめたデータベースはなく、不十分ながらもこのような形でまとめることができたのは、本研究の大きな成果といえる。
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