本研究は、江戸藩邸の作事に際して作成された浩潮な「作事記録」を分析することにより、江戸時代の都市における巨大構築物の建設がいかなるマネジメント手法のもと達成されたかを解明しようとするものである。ここでいう建設マネジメント手法とは、建設プロセス全体を成り立たせるために必要な様々な行為(資金・人員・材料・時間の確保・管理など)を指す概念であり、江戸時代に特に急速に発達した管理技術である。この手法の理解を通じて近世建築及び都市、ひいてはそれを建設した社会の理解を深めることを意図している。 主たる対象として設定するのは萩藩江戸藩邸である。同藩の作事記録の分析を中心として、他藩の事例を比較対象として参照しながら研究を進める。研究者全員が研究期間内に論文を執筆し、シンポジウムを開催して口頭発表を行った上で、出版助成に申請することを直接の目的とする。
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