研究課題
国内都市において、計画における「歴史性」に関わる事項を中心として、それぞれの都市計画事業の実態を調査した(研究実施計画(1))。その結果、歴史都市として位置づけられてきた京都における近代都市計画事業に、とりわけ「歴史性」と近代理念との間での反発、あるいは統合が見て取れることがわかった。その成果は、「『歴史都市』京都にみる近代都市の生成と現代都市の成立」などの研究論文として発表した。また、旧植民地での同様の調査も進めた(研究実施計画(2))。これについては、植民地期ソウルにおいて、日本人都市計画家たちが行った風致計画を明らかにした。この計画は山林景観の維持を主たる目的としているが、そのための資料として、古蹟と天然記念物の所在が細かく調査されていたことなどが明らかとなった。この成果は、東アジア建築文化国際会議にて、Treatments of historical districts in the city management of Keijo-fu (present Seoul) during 1930sとして発表した。さらに、都市計画技術者・官僚についての調査も行った(研究実施計画(3))。これについては、上記の京都での都市計画事業、とりわけ区画整理事業において、きわめて大きな役割を担った都市技術官僚の存在を明らかにした。その成果については、「都市計画事業として実施された土地区画整理」の研究論文で明らかにした。なお、上記の研究を進める中で、いわゆる開拓地、とりわけ北海道での開拓都市において、宗教施設の設置などに歴史性を強くうかがわせる計画手法が存在したことが明らかになり、現地調査を行ったが、その成果は、他の開拓地(とりわけ旧植民地)との比較分析を通じて今年度以降明らかにしていく予定である。
すべて 2009 2008
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件)
年報都市史研究 16号
ページ: 71-78
International Conference on East Asian Architect ural Culture, Tainan, Taiwan IV
ページ: 69-76
近代京都研究
ページ: 52-85