研究課題/領域番号 |
20360288
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
早稲田 嘉夫 東北大学, 多元物質科学研究所, 教育研究支援者 (00006058)
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研究分担者 |
鈴木 茂 東北大学, 多元物質科学研究所, 教授 (40143028)
篠田 弘造 東北大学, 多元物質科学研究所, 准教授 (10311549)
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キーワード | オキシ水酸化鉄 / X線構造解析 / X線吸収分光 / 酸化還元 / 原子配列 / 化学状態解析 |
研究概要 |
異なる原子価をもつ鉄イオン[Fe(II)とFe(III)]からなる酸化鉄は、様々な興味深い挙動を示す。たとえば、Green Rustは、水溶液中でFe(III)主体のオキシ水酸化鉄等へと変化する。また、りん酸鉄基リチウムイオン伝導体[Li-Fe-PO_4]もFe(II)とFe(III)からなる酸化鉄の一つである。この化合物では、Liイオンの酸化鉄微粒子へのインターカレーションが起こっているが、その原子価や結晶性の変化については十分わかっていない。本年度は、Green Rust(SO_4等が入った酸化鉄)酸化の基礎過程を調べると共に、液相と固相のルートを併用してりん酸鉄リチウムイオン伝導体の合成を試みてきた。りん酸鉄リチウムの合成では、まず液相法により2価の鉄とリン酸の化合物を作製し、次にそれにリン酸三リチウムと混合し、ガス中での熱処理によりLiFePO_4を合成した。合成した試料のXRD測定から、この微粒子はほぼ単相のLiFePO_4でできていることを示した。また、X線吸収分光測定により前駆体の化合物は鉄の2価とリン酸からなっており、リン酸鉄リチウムでは鉄の化学状態は2価の状態であることが確認された。さらに、充放電特性の評価により、合成したLiFePO_4の容量は、理論容量よりも大幅に小さい値であったが、動作電位はLiFePO_4の動作電位であることが確認された。作製した試料の電気容量が低い主な原因として、LiFePO_4粒子の電気伝導度が低いことや粒子粗大化によりリチウムの拡散速度が低下していることなどが考えられる。今後は、カーボン被覆による導電性の向上および粒子径の制御を試みることにより、容量の増加を図るともにLiの動きに伴う鉄の化学状態変化を明らかにする予定である。
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