研究課題/領域番号 |
20360288
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
早稲田 嘉夫 東北大学, 多元物質科学研究所, 教育研究支援者 (00006058)
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研究分担者 |
鈴木 茂 東北大学, 多元物質科学研究所, 教授 (40143028)
篠田 弘造 東北大学, 多元物質科学研究所, 准教授 (10311549)
藤枝 俊 東北大学, 多元物質科学研究所, 助教 (60551893)
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キーワード | リン酸鉄リチウム / X線構造解析 / X線吸収分光 / 酸化還元 / 原子配列 / 化学状熊解析 |
研究概要 |
本年度は液相法によるオリビン型のHFePO_4粒子の合成および評価に取り組んだ。合成においては、エチレングリコールに硫酸第一鉄およびリン酸を溶解した溶液に、水酸化リチウムを溶解した溶液を混合した後、393Kで24時間反応させて生成物を得た。走査電子顕微鏡観察により、この生成物は数十nm程度の微粒子の凝集粒子であり、X線回折測定にょり、得られた粒子はほぼオリビン型のLiFePO_4単相であることがわかった。しかし、リン酸鉄水和物とリン酸三リチウムの固相反応により作製した既報のLiFePO_4の定数を比較すると、今回液相法で作製したLiFePO_4粒子のaおよびb軸が長く、c軸が短く、格子が歪んでいることが明らかになった。また、この粒子の0.1Cで測定した充放電容量は、理論容量である170mA/gよりも遥かに小さな110mAh/g程度であった。 さらに、この液相法で合成したLiFePO_4粒子の特性を向上させるために、アルゴンと水素の混合ガス雰囲気下で熱処理を施した。773K以下で熱処理を施した粒子でも、単相状態は保持されたが、この熱処理により回折ピークがシフトすることが分かった。リートベルト解析により、今回の方法で作製したLiFePO_4粒子の格子定数は、熱処理により固相法で合成した既報のLiFePO_4の値に近づき、格子歪みが緩和されることが示唆された。さらに、熱処理により、FeのK吸収端のX線吸収スペクトルは熱処理により低エネルギー側にシフトし、熱処理前よりも大きい160mAh/g程度の充放電容量(0.1Cでの測定)になることを示した。つまり、LiFePO_4粒子の充放電容量は、格子歪やFeの化学状態等と密接に関係していることが明らかになった。
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