幅広い温度域での利用を可能とする磁気冷凍実現のために、複数の組み合わせが可能な磁気冷凍材料に必要な磁気熱量効果特性の検討と制御を実施した。 1) 磁気エントロピー△S_m-温度曲線の制御 これまで我々が開発してきた、実用に最も近いとされるLa(Fe_xSi_<1-x>)_13化合物を機軸とし、磁気エントロピー変化の最大値を出来る限り保持して、△S_m-曲線の温度幅を増大させる方策について検討した。本年度の調査の中では最も有望な手法はSiサイトのAl部分置換であることがわかった。 2) 磁気熱量効果制御のための基礎物性調査 本系の巨大磁気熱量効果を制御する上で重要な物理要因としては、遍歴電子メタ磁性転移におよぼす磁気励起(スピンの揺らぎ}がある。例えば、上記(1)の変化の場合には、メタ磁性転移磁場の温度依存性とスピンの揺らぎの関係が重要であることがわかった。そこで、部分置換前のLa(Fe_xSi_<1-x>)_13化合物について、ランダウ展開理論などを用い、スピン揺らぎの自由エネルギー曲線への影響を明らかにした。
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