研究概要 |
(1)ディップコーティングより得られたPMMA球状微粒子膜を利用した乾式製膜法によるマクロポーラス酸化物膜の作製:PMMA球状微粒子(直径:800nm)からなる懸濁液を用いた2段階精密ディップコーティング法により,テンプレートとして利用可能なPMMA球状微粒子膜を作製した。その後,高周波マグネトロンスパッタリング法を利用してテンプレート上にSnO_2を形成したのち熱処理することにより,マクロポーラス(mp-) SnO_2膜が得られた。PMMA球状微粒子の形状に由来する半中空SnO_2粒子からなるmp-膜が得られること,その半中空粒子の集積度はスパッタリング時のSnO_2析出速度に大きく依存することなどを明らかにした。これらの水素応答特性を緻密な(d-)SnO_2膜とともに調査したところ,d-SnO_2膜の場合はSnO_2析出量が少ない(膜厚が薄い)ほどH_2応答特性が良好であるのに対し,mp-SnO_2膜はSnO_2析出量が多いほどH_2応答特性が改善することを確認できたことから,サブミクロンサイズの多孔度を剃御することによりSnO_2膜のガス検知特性をコントロールできることを明らかにした。 (2)ゾルーゲル法によるマクロスペースの高次構造制御と組織制御によるガス応答性の改善: PMMA球状微粒子を利用して様々なガスを検知可能な種々のガスセンサを作製し,その特性を評価した。その結果,CuOを高分散担持したSnO_2膜(半導体式ガスセンサ)のマクロポーラス化は低温作動時のH_2S応答特性を劇的に改善すること,Eu_2O_3を高分散担持したSnO_2膜(フォトルミネッセンス式ガスセンサ)のマクロポーラス化は室温でのアセトン応答性を改善すること,超音波噴霧により得られたサブミクロンサイズのmp-SnO_2球状微粒子は,プロセッシングしやすい高性能H_2センサ用原料となりうることを明らかにした。
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