研究概要 |
(1)吸着燃焼式ガスセンサ:水熱処理により得られた高表面積の多孔質アルミナ粉末に,超音波還元法を用いてコア(Au)-シェル(Pd)ナノ粒子を高分散担持するとともに,それを用いて作製した吸着燃焼式ガスセンサは,既存の吸着燃焼式ガスセンサ(含浸法によりPd-Auナノ粒子を担持した多孔質アルミナ粉末より作製)に比べて,極めて高いエタノール応答特性を示すことを明らかにした。 (2)フォトルミネッセンス(PL)式ガスセンサ:ポリメタクリル酸メチル(PMMA)球状微粒子からなるテンプレート膜を利用して得られたマクロポーラス(mp-)Eu_2O_3添加SnO_2膜は,ZnOの添加により(昨年まではMgO添加効果を研究)PL強度が増大しガス応答特性が改善されることがわかった。なお,空気中に可燃性ガスが導入されるとPL強度が低下すること,NO_2の導入に対してはPL強度が増加すること,O_2濃度を高くするとPL強度が高くなることなど,基本的な特性はMgO添加素子と同様であった。なお,入射する励起波長を最適化することで,よりガス感度が高くなることがわかった。 (3)半導体式ガスセンサ:(i)メソポーラス(m-)SnO_2にPdあるいはAuを適量担持することで,極めて良好なH_2応答をすることがわかった。ただし,両試料ともに1~3wt%程度の貴金属を担持した際,低温で抵抗が大きく低下した原因が現在のところ明らかとなっていない。さらに,これらの試料の触媒活性と酸化物膜の膜厚との比較から,H_2応答応答値の温度依存性を比較的明快に説明することが可能となった。(ii)界面活性剤の自己集合体とPMMA微粒子をテンプレートとして,メソ細孔とマクロ細孔が3次元的に発達したメソ・マクロポーラス(m・mp-)SnO_2粉末を調製し,その応答特性を評価した。その結果,m-mp-SnO_2センサは,m-SnO_2センサよりも応答速度が速く,mp-SnO_2センサよりもガス感度が高くなることがわかった。これは,それぞれの試料の比表面積(あるいは結晶子径)と細孔分布から説明できることを明らかにした。(iii)PMMA球状微粒子を分散した酸化物前駆体溶液を超音波噴霧一熱分解することで得られたmp-SnO_2粉末は,MoO_3を添加することで,比較的良好な感度と選択性を有するNO_2センサとして作動可能であることを明らかにした。
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