共同開発を進めてきた純国産タンデム型3パスファブリペロー干渉分光計の製造段階で溝尻光学工業所側の作業が難航し、当初の予定よりも大幅に納品が遅れたが、平成21年度末に、「予定より1年半遅れて」、ようやくタンデム型3パスファブリペロー干渉計分光計が納品され、ブリルアン散乱の測定が高分解能で行えるようになった。 3次の弾性定数決定のために不可欠な、一軸での高応力負荷のため、透過ブリルアン散乱光の測定が非常に難しい3mm以上の厚さのある高屈折率を示す大型試料の測定を可能にした、光軸調整用ホルダー等を作製した。これにより、定盤上での平面光学系のみならず、ブリルアンシフトの分散曲線及び結晶方位を測定するための回転光学系での測定が可能になった。しかし、通常透過ブリルアン散乱光の測定は0.1mm以下の薄い試料においてのみで可能であり、本研究に用いる試料の厚さの測定においては軸調整に膨大な時間を要し現実的ではない。従って当該年度においては、厚いバルク試料においても、マニュアル式に熟練者でなくても軸調整が出来るように、光学系及び試料系治具の抜本的な改良を行った。また、同一光学系を用いて(平面光学系、回転光学系ともに)、反射ブリルアン散乱スペクトルの測定も高分解能で行えるようになった。したがって、(応力ではなく)荷重として10トンまでの一軸引張・圧縮・繰り返し引張圧縮応力及び静水圧を負荷した元で、酸素分圧を1~10^<-50>atm程度まで変化させることができ、温度を室温~1373K程度まで変化させられる試料系に、超音波及びレーザーを透過させ、精度よく超音波透過速度及び透過及び反射ブリルアン散乱の測定できる装置となった。 また、21年度までに、超音波法においては矩形波パルサーレシーバーと導通型高速リアルタイムサンプリングオシロスコープの導入により、弾性率測定の精度が格段に向上したが、複数の長さの試料を用い、長さ0へ外装することにより、超音波が試料に伝達する始点が精密に測定できるようになり、弾性定数の測定精度がさらに格段に向上した。
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