本研究の目的はイオン結晶に見られる超イオン伝導現象の本質的な解明を応力場・電場下での超音波物性、光非弾性散乱(ブリルアン散乱およびラマン散乱)および発光(PL及び非輻射再結合)挙動を精密に測定することによって行うことである。 および12mol%スカンジアをドープしたスカンジア安定化ジルコニアを用い、フォトルミネッセンス(PL)測定を行った。He-Cdレーザー励起(3.81eV)による多重サブバンドの温度依存性を調べた結果、11mol%と12mol%の試料の間に明瞭なコントラストを見出した。その結果から、光励起の下で電子の基底と励起状態に対するそれぞれの酸素空孔からの発光によるモデルが構築された。 さらに純国産タンデム型3パスファブリペロー干渉分光計を溝尻光学工業所と共同開発を行った。この装置は超音波透過速度及びブリルアン散乱を引張、圧縮など各種応力を負荷した状態で、種々の酸素分圧と温度条件下で、高精度で測定することを可能にした。この装置によって試料に応力を負荷した状態で、試料系に超音波及びレーザーを透過させ、超音波透過速度とブリルアン散乱の応力依存性の高精度測定が可能になり、高次の弾性定数を精度よく決定できるようになった。
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