研究課題/領域番号 |
20360304
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
若島 健司 東京工業大学, 精密工学研究所, 教授 (70016799)
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研究分担者 |
細田 秀樹 東京工業大学, 精密工学研究所, 准教授 (10251620)
稲邑 朋也 東京工業大学, 精密工学研究所, 助教 (60361771)
柴田 暁伸 東京工業大学, 精密工学研究所, 助教 (60451994)
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キーワード | 複合材料 / 物性 / 複合効果 |
研究概要 |
強磁性形状記憶合金NiMnGaは磁場により単結晶で数%の磁場誘起ひずみを発生できるが、磁場の除去だけではそのひずみは回復しない。また、多結晶体では脆く、実用に耐えない。これらの克服のため、NiMnGa多結晶を単結晶まで粉砕し、ポリマーとの複合化により実用材料が作製できると考え、微視力学に基づく材料開発を行っている。これまでマルテンサイト相が10M正方晶となるNiMnGa/ポリマーコンポジットで観測される磁場誘起ひずみは15ppm程度とされる。磁場で再配列するマルテンサイト相は斜方晶14Mもあり、最大ひずみは10Mで5.9%、14Mで10.6%と、14Mの方が大きいため、14Mの方が分散粒子として適している。しかし、この場合、低温では磁場動作しない2Mに変態し、室温まで加熱しても2Mのままという報告もある。そこで今回作製した合金のマルテンサイト相の熱履歴依存性を調べた。98℃から室温まで冷却すると14M+10Mであったが、-80℃まで冷却した場合および-80℃以下から室温まで加熱した場合は2Mとなることを明らかにした。よって、100℃付近で保持後に室温に冷却した粒子が磁場駆動に適しており、50vol%NiMnGa/シリコーンゴムコンポジットを作製し、磁場誘起ひずみ測定を行った結果、25ppmであった。これは過去の10Mコンポジットの報告値15ppmより大きい。よって、両コンポジットでは分散粒子が同じ割合で磁場による再配列が起きている可能性が指摘できた。磁場誘起ひずみが小さい理由としては、分散粒子の配向がランダムなため、印加磁場でバリアント再配列が起きるのは一部に限られることが考えられる。大きな磁場誘起ひずみを観測するためには各粒子の方位をそろえる必要があり、このため単結晶の作製を試み、得ることができ、今後、本単結晶から粉末を作製し、空孔を導入していく予定である。
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