研究課題/領域番号 |
20360305
|
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
小長谷 重次 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 教授 (30418785)
|
研究分担者 |
真田 和昭 富山県立大学, 工学部, 准教授 (20363872)
松本 明博 大阪市立工業研究所, 有機材料研究部, 研究主幹 (40416285)
|
キーワード | 導電性高分子 / ナノ粒子 / スルホン化ポリアニリン / 酸化チタン / ポリビニルアルコール / 表面抵抗 / セルロースナノファイバー / 有限要素法 |
研究概要 |
タッチパネルやディスプレイ分野に幅広く利用される透明導電性薄膜材料には、ITO(インジウム/スズ酸化物)やATO(アンチモンドープ酸化スズ)などが用いられているが、インジウムやアンチモンは入手や毒性に不安があり、代替素材が求められている。本研究は、インジウム代替素材に関し、導電性高分子/汎用高分子/ナノ粒子複合材料より、透明性かつ導電性に優れた透明薄膜材料、そして、その応用品、例えば透明導電フィルムの開発を目的とする。本年度は導電性高分子としてスルホン化ポリアニリン(PAS)またはポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)、汎用高分子として水溶性ポリビニルアルコール(PVA)、添加ナノ粒子として一次粒子径が10~20nmの水分散性ポリエステル(PEs)、酸化チタン(TiO2)、アルミナ(Al2O3)、ITO粒子そしてセルロース系ナノファイバーを用いて、高圧湿式微粉砕法にて導電性高分子/汎用高分子/ナノ粒子・ナノファイバー混合スラリーを調製した。次にスラリーをPETフィルム上にコート(厚み>2μm)し、乾燥後、コート膜面の導電性(表面抵抗)を測定し、以下の結論を得た。さらに、ナノ粒子の効果に付き、有限要素法を用いたコンピューターシミュレーションを行ない、実験結果と比較した。 1)PAS/PVA/ナノ粒子系 (1)導電性向上に最も有効な粒子は特定の酸化チタンで、最適量が30重量%付近にある。 (2)平均粒径1ミクロン酸化チタンにおいては、粒子径の増大につれ、導電性は向上する。 (3)上記結果は、有限要素法によるコンピューターシミュレーション結果とも一致する。 2)PAS/PEs/セルロースナノファイバー系 (1)PAS/PEs系に40nm径、数ミクロン長のセルロースナノファイバーを1重量%添加することにより、導電性が向上するが、2%以上の添加では逆に導電性の低下を招く。 上記の如く、PAS/汎用高分子複合材料の導電性向上に酸化チタンナノ粒子及びセルロース系ナノファイバーが有効であることを明らかにした。
|