研究概要 |
Ni-Mn-X (X=In, Sn, Sb)系形状記憶合金は,強磁性オーステナイト相(A相)からフェリ磁性あるいは反強磁性(弱磁性)マルテンサイト相(M相)へ変態するため,磁場印加に伴う逆変態を利用した形状記憶効果(メタ磁性形状記憶効果)が期待される.本年度は,Ni-Co-Mn-SnおよびNi-Mn-Inメタ磁性形状記憶合金を薄膜化し,その構造および磁気特性を調査した.作製されたNi_<44.7>Co_<7.4>Mn_<39.1>Sn_<8.8>合金スパッタ薄膜は,873~1273Kで3.6ks間の熱処理が施された.X線構造解析より,成膜したままでは非晶質構造を示し,973K以上の熱処理ではHeusler構造を有するA相からの回折ピークが現れ,1073K以上では長周期構造を有するM相からの回折ピークも見られ,熱処理温度の上昇に伴いマルテンサイト変態温度は上昇することがわかった.0.05Tの低磁場における熱磁化曲線より,1073Kの熱処理膜ではマルテンサイト変態開始温度(M_s)が308K,キュリー温度(T_C)が380Kであった.また,4Tの磁場印加に伴いM_s温度が20K程度低下することが確認された.Ni-Mn-In合金スパッタ薄膜(Ni_<45.0>Mn_<42.7>In_<12.3>, Ni_<48.1>Mn_<39.3>In_<12.6>)においても,成膜したままでは非晶質構造を示し,873~973Kの熱処理ではHeusler構造を有する結晶質となり,1073~1173Kではマルテンサイト構造も見られた.また,M相の磁化は小さく,A相で大きくなり,弱磁性M相から強磁性A相への変態が確認された.さらに,1073Kで熱処理されたNi_<45.0>Mn_<42.7>In_<12.3>合金薄膜では,磁場印加に伴いマルテンサイト逆変態が誘起され,A相が安定化することが確認された.
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