研究概要 |
βチタン基超弾性合金は生体用機能性材料として注目されているが,超弾性変形と競合する塑性変形(永久変形)を十分に抑制する組織制御法が確立されていないため,超弾性変形が不完全であるという問題がある.本研究では,脆性をもたらすので通常は避けるべきω相をα相(強化相)の微細析出サイトとして利用する熱処理法を考案した.Ti-Mo-X(X=Al,Mn)において773K(ω相微細析出)→1023K(α相がω相を起点に微細析出)→1123K(ω相のみ消去)の多段階熱処理によって800MPa近い強度と完全な形状回復が得られることを明らかにした.また四段階目に373K程度での低温熱処理を施すことでさらなる強度・破断歪の増加が可能なことも明らかにした.
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