研究概要 |
1.最適合金設計 (1)母相組織をベイニティックフェライトとしたTBF鋼において,0.5Cr-0.2Moを複合添加したとき,高い切欠き疲労強度と低い切欠き感受性が達成できた.一方,母相組織を焼鈍マルテンサイトとしたTAM鋼においては,20ppmBまたは0.5%Crを添加したとき,TBF鋼より硬さは低い(低強度レベルである)が,切欠き感受性はさらに低くなった. (2)TBF鋼,TAM鋼いずれの場合も,コモンレールに適用する為の耐用応力以上(500~700Mpa)の切欠き疲労強度を達成した. (3)強靭性に対しては,CrまたはBの添加は高い衝撃値と低い遷移温度をもたらせた.また,TBF鋼において,最適BF/M比が存在すること,及びその改善メカニズムを提案した. 2.熱間鍛造熱処理 (1)0.25C-1.5%Si-1.5%Mn-0.05%Nb-0-1.0%Cr-0-0.2%Mo-0.002%Bの化学組成を有するTBF鋼において,熱間鍛造+オーステンパー処理(熱間鍛造熱処理)は組織の微細化とγ_R特性の改善を達成し,結果的に靭性を改善した. (2)合金元素添加は焼入れ性を高める反面,γR特性を低下させる.このトレードオフの関係より,強靭性に及ぼす合金元素添加の効果は小さかった.
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