研究概要 |
本研究では,カーボンナノチューブ(以後CNTと呼ぶ)を成長する際にFeCoをチューブ内に内包することで,ナノ領域でアスペクト比が大きな形状,CNTにより大気から遮断した,「FeCo単結晶ナノワイヤ」を作製しナノ磁性を評価することで,スピントロニクス・デバイスとして活用できる機能を見出す.本年は,以下の研究を実施した. 1.DCプラズマCVDによる大面積基板へのFeCo単結晶ナノワイヤ内包CNTの作製(担当:種村・林) これまでの最適な成長技術を基盤として,2インチSi基板への高密度にFeCo単結晶ナノワイヤ内包CNTを成長する技術を確立した.また,内包させるCNTのチューブ径を100nm~30nmまで制御することができた. 2.高分解TEM(HR-TEM)による内包した単結晶ナノワイヤの微細構造評価(担当:金子) 名古屋大学の協力を得て,In-situ TEMにより,単結晶ナノワイヤ内包CNTを室温から高温に変化させてTEMの観察を連続的に行い,融点以上に温度を上げても結晶状態を保っていることが分かった.この結果は,ナノ領域に閉じ込められた金属の振る舞いが,通常の金属との振る舞いと異なることを示唆している. 3.基板に垂直に配向した大面積基板上FeCo単結晶ナノワイヤ内包CNTのマクロ磁化特性評価(担当:林) 英国ケンブリッジ大学の協力を得て,4K-600Kまで振動試料型磁力計VSMにより磁気ヒステリシス曲線を測定して,保磁力,角形比,また磁気異方性の評価を行った.チューブの方向に対して磁場を平行/垂直に変化させることで,保磁力,角形比に違いが観測され,明瞭な磁気異方性を示した. 4.電子線ホログラフィー法によるFeCo単結晶ナノワイヤ内包CNTのナノ磁化特性評価と理論解析(担当:藤田) 英国ケンブリッジ大学の協力を得て,「隣り合う2組のFeCo単結晶ナノワイヤ内包CNT」間の距離と磁気相互作用の測定を行った.同一のチューブ径の単結晶ナノワイヤ内包CNT2本を,約を約300nm程度離し平行に配置し,両者の磁気相互作用があることを,電子線ホログラフィ「法により明らかにした.
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