SiO2以外のガラス形成酸化物としてB203やP205を添加したガラス(金属A1含有ガラス)を作製し、フェムト秒レーザー照射によるガラス内部からのSi析出を試みた。その結果、SiO2-B203系ガラスやSiO2-P205系ガラスにおいてもレーザー照射と熱処理とを組み合わせることでミクロンオーダーのSi析出が可能であることを確認した。これらのガラスにおいては、ガラス形成酸化物がSiO2のみの場合に比べ、析出したSi周辺のガラス構造が破壊されにくい傾向にあることも確認できた。以上の結果は、酸化物ガラス内部にレーザー照射によりガラス構造を脆弱させることなくSi構造体が形成できる可能性を示唆する。また、照射するレーザーの空間モード、パルスエネルギー、繰り返し周波数、パルス幅および集光する対物レンズを調整することで、数ナノメートルサイズのSiナノ微粒子がレーザー集光点近傍のみに析出することをFE-SEM、TEMおよび顕微ラマン分光の結果より確認した。Siナノ粒子の析出はレーザー集光照射によるSiの集光点への移動(高濃度化)とともにレーザーによりSi-O結合が切断され、OがAlに補足されることでSi同士のクラスター化が促進された結果と考えられる。Siをはじめとする半導体ナノ粒子は量子サイズ効果により粒径を制御することで可視域において発光することが知られており、ガラス材料の優れた成形性と組み合わせることで新しい形態の発光素子としての応用が期待できる。
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