研究課題/領域番号 |
20360317
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研究機関 | (財)電気磁気材料研究所 |
研究代表者 |
大沼 繁弘 (財)電気磁気材料研究所, 研究開発事業部, 主席研究員 (50142633)
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研究分担者 |
小林 伸聖 (財)電気磁気材料研究所, 研究開発事業部, 主席研究員 (70205475)
横井 敦史 (財)電気磁気材料研究所, 研究開発事業部, 研究員 (60513760)
増本 博 東北大学, 学際科学国際高等研究センター, 教授 (50209459)
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キーワード | スパッタ成膜法 / 自己形成法 / 金属-セラミックス型 / 複合機能性 / ヘテロ界面 / 磁性金属超微粒子 / 磁気抵抗効果 / 生成熱 / ナノスケール / 超高周波軟磁性 |
研究概要 |
本研究は、従来のナノグラニュラー磁性膜の研究の知見に基づき、複合機能を有する孤立・分散粒子系Co-セラミックスナノヘテロ複相膜を創製し、有用なデバイス素子としての学術・技術基盤を確立することを目的とした。研究に供した膜は全てスパッタ成膜法により作製した。以下にその結果を示す。 粒子と粒界物質の生成熱の差がそれほど大きくないCo-M-O系膜(M=Ti,Nb,Ta etc.)で、大きな誘電率と磁性を併せ持つ膜の合成に成功した。具体的には、Co-Ti-O系膜ではCo_50(TiO_2)_50膜が、酸化物系で最大の11%(RT)のMR効果を示す。一方、Co-Nb-O膜は7%のMR効果を示す他に、20<Co<40 at.%のCo-Nb_2O_5膜が大きな光透過率と誘電率を同時に示す。これらの特性はCo濃度の外に、マトリックスの酸化物が化学量論的組成のときに最大値を示す。X線小角散乱法で検討した結果、この複合機能性には組成の他に構造が大いに関係していることがわかった。本膜は低温で従来材料には見られない新奇な特性を示す。例えば、Co-Al-O膜のHcは室温では数Oeであるが、200K付近から温度の低下と共に直線的に増大し、2Kでは250 Oeを示す。このような結果は同じ構造を持つFe-Al-O膜では観察されない。 窒化物系膜では、膜面に対して垂直な磁化成分を含み、かつ面内では等方で、かつ保磁力(Hc)が数10 OeのCo-Al-N膜が約50の透磁率を有し、その磁気共鳴点が1GHz付近まで伸びるユニークで優れた高周波軟磁性材料であることを見出した。一方、Co-Ti-N膜は、40<Co<80 at.%の広いCo組成域で良好な高周波軟磁性を示す。そのHcは500℃の熱処理に対しても不変であり、Co-Al-N、Co-Ti-N膜共に実用軟磁性材料として高いポテンシャルを持っていると言える。
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