高記録密度磁気ハードディスクのための、高感度読み取りヘッドのための素子としては、現在数100%に及ぶ磁気抵抗変化率を発現するトンネル磁気抵抗効果(TMR)素子について盛んに研究が行われている。しかしながらTMR素子は絶縁体層を介した電気抵抗を利用するため電気抵抗が大きく、高密度化のために必要な高いデータ転送速度が得られない。これに対して金属層を介した電気抵抗を利用する面直磁気抵抗効果(CPP-GMR)は低抵抗ということで有利であるが、現時点では十分大きな磁気抵抗変化率が得られていない。本研究では、フェルミ面上での電子スピンが完全に分極していると期待されるホイスラー合金を磁性体電極として用いたCPP-GMR構造を利用し、低い電気抵抗と高い磁気抵抗変化率を併せ持つ素子の実現を目指す。
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