研究課題/領域番号 |
20360326
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
若井 史博 東京工業大学, 応用セラミックス研究所, 教授 (30293062)
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研究分担者 |
赤津 隆 東京工業大学, 応用セラミックス研究所, 准教授 (40231807)
篠田 豊 東京工業大学, 応用セラミックス研究所, 助教 (30323843)
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キーワード | 焼結 / セラミックス / 緻密化 / 焼結応力 / 異方性 / 収縮速度 |
研究概要 |
一軸プレス、射出成形、ドクターブレード法などによって粒子を配向させたアルミナなどの多孔体の焼結において、異方的な収縮の支配要因となる巨視的粘性係数を微視的な局所構造と粒界すべりなど微視的な機構をもとに推定する手法を開発した。焼結における巨視的な収縮は焼結応力テンソルと粘性係数テンソルの関数として表された。粘性係数テンソルは相対密度とともに増加し、粒界エネルギーと表面エネルギーの比とともに減少した。粘性係数の偏差成分は体積要素の辺の長さのアスペクト比の対数に比例して増加した。異方的な収縮は、焼結応力テンソルよりも、粘性係数テンソルの異方性に強く支配された。異方的な収縮は、異方的な微構造がより等方的となる方向に起こった。これらの3次元の数値計算結果は2次元の厳密な理論解析の結果とよく一致した。 拘束焼結や共焼結など収縮速度の異なる材料を焼結する場合、内部に応力が発生し、「そり」やねじれ、場合によっては剥離が起こる。内部応力を予測するためには粘性ボアソン比を決定することが必要である。等方的な構造をもつ多孔体の粘性ボアソン比に及ぼす粒界すべりの微視的な粘性係数の影響を明らかにした。粒界すべりの微視的な粘性係数は定数ではなく、焼結中の微構造形成につれて変化した。ある相対密度における粘性ボアソン比は局所構造ならびに粒界エネルギーと表面エネルギーの比によっても変化した。実験的に計測された異方的収縮を、微視的な局所構造から理論的に予測できることを明らかにした。
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