研究概要 |
本研究では,難加工性硬質金属材料をも対象とできる,革新的部材創製技術としてのコールドスプレー法の基盤確立,高度化を目指し,(1)独自設計ノズルを駆使した,空気を媒介ガスとする同法実プロセスの確立,(2)粒子/基材間接合機構の解明を基とするプロセス高度化に取り組む。 本年度は独自設計ノズルを用い,軟質金属粒子における付着機構ならびにプロセス諸因子の影響解明を行った。具体的には,1)数値シミュレーションによるHe優位性の定量評価,2)公称速度,衝突速度間における有為差の検証,3)粒子付着に対する支配因子の検証,4)最適形状・寸法ノズルの製作,効用確認,の各研究課題に取り組んだ。 その結果,1)数値解析によりHeガスにおけるバウショック低減の効果を検証した。2)基材衝突直前の粒子衝突速度の実測を試みたが,データ取得の困難さが障害となり,達成することはできなかった。次年度以降への課題である。3)付着粒子特有のメタルジェット発生現象に着目し,ガス圧力の増大に伴いメタルジェット発生割合が増大すること,粒子付着効率がこれに呼応して増大することを国内外に先駆け定量値として明らかにした。ただし,ガス圧の増大に伴う皮膜密着強度の増大傾向は認められず,コールドスプレープロセス制御の方途については,さらなる取り組みが必要であることを明らかにした。4)独自ノズルのさらなる改良に取り組み,ノズル長さの最適設計を達成した。5)コールドスプレー法のセラミックス粉末成膜の可能性に挑戦し,広面積への強固な密着性,健全構造を有するチタニア光触媒皮膜の創製を国内外に先駆けて達成した。
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