研究概要 |
本研究では,難加工性硬質金属材料をも対象とできる,革新的部材創製技術としてのコールドスプレー法の基盤確立,高度化を目指し,(1)独自設計ノズルを駆使した空気または窒素を媒介ガスとするコールドスプレー法実プロセスの確立,(2)粒子/基材間接合機構の解明を基とする同プロセスの高度化に取り組む。 本年度は昨年度の成果として明らかにした最適形状・寸法を有するノズルを用い,粒子衝突速度に対するバウショックの影響,ならびに基材への金属粒子付着機構の解明に取り組んだ。具体的には,1)数値シミュレーションによる基材面上バウショックの定量把握,2)粒子公称速度,衝突速度の実測,両者における有為差の検証,衝突速度の粒子サイズ依存性解明の各研究課題に取り組んだ。 その結果,1)数値シミュレーションにより基材表面でのバウショック発生挙動の定量把握を達成し,基材面上数mmの位置にプレートショックとしての衝撃波が発生することを明らかにした。2)二種類の計測装置を駆使し,基材衝突直前の粒子衝突速度の実測に成功した。両者間の比較により計測値の信頼性を吟味した結果,5μm以下の粒子において基材近傍での衝突速度激減を実験的に明らかにした。なお,既設DPV装置での粒子速度計測において,基材表面での粒子速度の急激な増大傾向が認められたが,結果的にその値は誤計測による可能性が高く,その原因究明が今後の課題である。
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