研究概要 |
本研究では,木材の成形加工における加工条件,すなわち軟化および破壊(粉砕)状態,そして,その後の流動・固形化のメカニズムを解明すると共に,木材の塑性加工の手法による複雑形状製品の成形技術を確立することを目的としている. 平成21年度は,ホットプレスによる小形複雑形状部品の成形および各種塑性加工法の検討を行った. (1)金型内における木材の流動,固形化状態検討:金型内での流動状態(特に,金型の隅部や方向が変化する部分),および固形化状態(特に形状が変化する部分)での固形化の状態を詳細に調査し,ホットプレスによる成形における問題点を明らかにした.(2)成形体の寸法精度および機械的特性の検討:成形体を半割にして,内部の密度分布および硬さ分布を調査し,成形体の強度に対する成形条件の影響を明らかにした.さらに,成形体を30分間の煮沸実験を行い、形状変化が生じない成形条件を明らかにした.(3)各種塑性加工法の検討:現在,実験で行っているホットプレスによる加工では,「金型への木材の挿入→加熱→加圧(保持)→冷却→成形体の取り出し」の工程をたどる.このため加熱・冷却時間が長くなり,実用化を考慮した場合には生産効率が非常に悪い.そこで,射出成形の利点を考慮して木材の含水率の調整が可能な加熱部と加圧部を分離させた加工装置を試作し,生産効率の向上について検討した.また,木材粉末の固形化が確認されている他の塑性加工手法(押出し加工,逐次押出し加工)について,木材の成形加工の可能性を確認した.
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