研究概要 |
本研究は,木材の成形加工における加工条件,すなわち軟化および破壊(粉砕)状態,そして,その後の流動・固形化のメカニズムを解明すると共に,木材の塑性加工の手法による複雑形状製品の成形技術を確立することを目的とする 本年度は,実用的な大きさ・形状を有する複雑形状部品の成形を試み,成形の可能性と問題点を検討した 1. ホットプレスによる複雑形状部品の成形:複雑部品形状(ワイングラス形状)金型を作製してホットプレス成形を試みた.そして,木材の流動状況,成形品の固形化状態,強度および耐水性を調査し,実用的な形状を有する製品の製造の可能性と問題点について検討した.密度1.30g/cm3以上の耐水性を有する良好な成形体を作製できる適切なホットプレスの加工条件(木材の含水率,成形温度,成形圧力)を明らかにした 2. 射出成形による成形:木材用の射出成形装置を試作し,射出成形の可能性と問題点を検討した.この試作の射出成形装置は,コンテナ部(木材の軟化・破壊),ゲート部(コンテナ部と金型部の連結部),固形金型部で構成されている.良好な成形体が得られる加工条件(木材の含水率,コンテナ温度,ゲート部の形状・温度,射出圧力,金型温度,金型の容積,保圧時間等)を調査した.木材がゲート部(直径2mmの穴)を良好に流動するコンテナ部での加工条件(木材の含水率,温度,保持時間)を明らかにした.また,ゲート部を通過し固形金型に流入した材料の固形のための加工条件を明らかにした.成形品は,密度1.30g/cm3以上で耐水性を有しており,木材の射出成形が可能であることが確かめられた
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