研究概要 |
これまで接合が困難とされてきた高張力鋼(ハイテン材)に関して,析出強化型高張力鋼(HT80),フェライト-マルテンサイト2相型高張力鋼(HT100, HT120)に対して,その強度を落とすことなく接合する技術を確立した。特に,強度が高い高張力鋼板に関しては,熱影響部における強度低下が生じたため、液体CO_2による急冷および補助熱源としてYAGレーザ等を用いて接合を行った。 回転ツールはWC-Co合金とし,ツールの回転速度および接合速度によって650~900℃の範囲で制御した。まず,ツールの回転速度は200~600rpmの間で設定し,接合速度を25~600mm/minと変化させることで、最高到達温度と冷却速度を制御した。次に,接合速度を400mm/minを中心とし,回転速度を100~800rpmで変化させて、条件の依存性を調査した。このように種々の接合条件で得られた組織を,光学顕微鏡,FE-SEM等で解析を行うとともに,引張強さや断面におけるビッカース硬度分布との関連を調べ,継手の組織と機械的特性の関係を明確にした。 一方、炭素鋼に対しては、S35Cに対して,初期組織をフェライト-パーライト組織およびセメンタイトを球状化処理した鋼材を用いて、それぞれ摩擦攪拌接合し,継手の組織および機械的強度に及ぼす接合前組織を調査した。その結果、初期組織がフェライト-パーライト組織の方がマルテンサイトが形成しやすく、引張強度は向上した。
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