研究概要 |
摩擦攪拌プロセスを行う前に,試料に数mmの溝を掘り,そこに微細黒鉛粒子などの分散材を充填させることにより,摩擦攪拌プロセス中に分散材を素材中に均一に分散させ,複合化を図る技術を開発し、微細黒鉛粒子の分散に伴う、組織および機械的特性に及ぼす影響を明確にした。また、接合中の温度を制御することにより、鉄基地中へのCの拡散の度合いが変化し、焼き入れ性を変化させることが可能となった。このように、炭素の攪拌-拡散-固溶-変態のプロセスを応用した、800HV程度の硬度の高い表面硬化処理技術が開発された。 平成21年度までに得られた知見を活かして,これまで接合が困難とされてきたフェライト-マルテンサイト2相型高張力鋼(HT100, HT120)に対して,その強度を落とすことなく接合する技術を確立した。強度が高い高張力鋼板に関しては,熱影響部における強度低下が懸念されたため,液体CO_2による急冷手法を用いて接合を行った。回転ツールはこれまで,研究者代表等が開発,最適化を行ってきたWC-Ni合金,WC-Co合金を中心に検討し,新たなツール材料,形状も開発した。温度プロファイルはツールの回転速度および接合速度によって650~900℃の範囲で制御した。 上述の接合条件で得られた組織を,光学顕微鏡FE-SEM, EBSP, TEM等で解析を行うとともに,引張強さや断面におけるビッカース硬度分布との関連を調べ,分散材が継手の組織形成過程および機械的特性にどのように影響を及ぼすかを明確にした。
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