研究概要 |
本研究は, 強磁性形状記憶合金と100℃以上で作動する高温形状記憶合金の組成最適化と種々の形状のデバイスサイズ単結晶育成プロセスを構築することを最終目的とする. このために, 各種変態点の組成依存性と融点, 分配係数のなどの凝固特性を系統的に調査し, 良好な単結晶を得るための条件を確立するとともに作製した結晶の特性評価を行っている. 本年度は, 2種類のNi-Co-Ga-Fe合金の凝固特性を調査した. まず, 示差走査熱量計により液相線および固相線の測定を行い, その後, 液相線および固相線の間で平衡化熱処理を施した試料の組織観察およびEDXによる局所組成分析を行い, 固/液分配係数を測定しK_<Fe>=1.08, K_<Co>=1.16K_<Ga>=0.97という結果を得た. 更に, アルミナルツボを使用したマイクロ引下げ法によりNi-Co-Ga-Fe合金の単結晶ワイヤーを作製し, その偏析傾向について調査を行った. ルツボ底部のマイクロノズル径が1mmおよび3mmの場合の固/液実効分配係数を測定した結果, 予測としてはマイクロノズル径が大きくなるほど, ノズル部に吐き出された溶質とルツボ内液体の撹拌が進行し偏析が促進すると考えられたが, この実験の範囲内では大きな影響はなく, 実効分配係数も1に近く偏析が小さい良質の結晶が得られることが明らかとなった. また, 得られた単結晶について引張り試験を行った結果, 良好な擬弾性特性を示すことが明らかとなった.
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