研究概要 |
本研究は,強磁性形状記憶合金と100℃以上で作動する高温形状記憶合金の組成最適化と種々の形状のデバイスサイズ単結晶育成プロセスを構築することを最終目的とする.このために,各種変態点の組成依存性と融点,分配係数のなどの凝固特性を系統的に調査し,良好な単結晶を得るための条件を確立するとともに作製した結晶の特性評価を行っている.本年度は,Ni_<50>Fe_<17>Ga_<27>Co_6およびNi_<49>Fe_<18>Ga_<27>Co_6合金の単結晶ワイヤーを作製し,その機械的性質について調査を行った.その結果,超弾性特性がクラジウスクラペイロンの式をみたすだけでなく,そのヒステリシスが高温になるほど小さくなることが明らかとなった.また,100℃を越える温度領域で良好な擬弾性特性を得ることに成功した.このことは,高温形状記憶合金を実用化する上で大変重要なことである. また,高温形状記憶合金を探索する目的で,Ni_<57>Fe_<15>Ga_<28>,Ni_<59>Fe_<12>Ga_<29>,Ni_<58>Fe_<12>Ga_<30>,Ni_<60>Fe_<10>Ga_<30>,Ni_<34>Co_<34>Ga_<32>,Ni_<31>Co_<37>Ga_<32>,Ni_<28>Co_<40>Ga_<32>合金を作製した.室温で組織を観察したところ,全てがマルテンサイト組織を呈していた.その逆変態点を測定するためにDSCにて300℃まで昇温したが,逆変態点は確認できなかった.このことは,これらの合金の逆変態点が非常に高いことを示している.今後,それらについて更なる検討を行う予定である.
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